sakuraimasaue

2023/3/9

統一教会二世の恋愛と結婚 ~人を好きになってはいけない?【後編】

教会内において、思春期の二世たちから寄せられた一番の悩みが「恋愛」であったなら、青年期における一番の悩みは「結婚」でした。 教会では、自ら主催する結婚式のことを「祝福」(祝福結婚)と呼んできましたが、これは成熟した男女が「神の“祝福”のもとに結ばれる結婚」を意味します。 ※祝福とは本来(統一教会というより)「統一運動」が宗教の枠を越えて広げていこうとしていた「普遍的な結婚運動・家庭運動」を指しますが、ここでは詳細は省き、「教会の結婚」として表記しておきます。 この「祝福」こそ、統一教会における教義の核心で ...

2023/3/2

統一教会二世の恋愛と結婚 ~人を好きになってはいけない?【前編】

昨年の事件を機に、教会内で困難な思いをしてきた二世たちの声が世に知れ渡るようになりました。そのうち、彼らが最も苦しんできたとされるのが「恋愛と結婚の問題」(=いわゆる「恋愛禁止」)です。 一般的に見れば、「え? 恋愛の何が問題?」となりそうですが、実際、教会内ではこの問題が、親子関係に不和をもたらす大きな要因であり、私が二世教育(家庭教育)を担当しながら最も多く受けてきた相談でした。 正直、この問題の原因は、親と教会の「行き過ぎた指導」にあったと言わざるを得ません。が、それは「教義の問題」というより、教義 ...

2023/2/18

統一教会と二世コミュニティ ~教会が好きな二世・嫌いな二世【後編】

二世局の発足 — 二世によって始まった二世教育 二世たちの居場所 — 全国二世部の整備 二世教育の展望 — 新たな改革運動の始まり ※上記(https://sakurai.blog/archives/372)は前編の小題目。下記がその続きになります。   二世が教会に通う理由・教会を離れる理由 主に中高生期までの教育を担当していた二世局はその後、青年までを対象とする「成和局」(05年~)に変わり、さらに父母教育までも含む「家庭教育局」(09年~)へと拡がっていきました。 現場の二世部も「成和子女部」(小学 ...

2023/2/18

統一教会と二世コミュニティ ~教会が好きな二世・嫌いな二世 【前編】

「宗教二世」という言葉は、親の信仰ゆえに経験してきた二世たちの苦悩を—長らく度外視されてきた彼らの困難や痛みを—世の中に広く知らしめる重要なキーワードとなりました。 しかしその一方で、「宗教二世」という言葉で括られることに“抵抗”を覚えた二世たちも多かったに違いありません。 それは、宗教二世という言葉が「二世=被害者」という含みをもって用いられてきたからでしょう。 統一教会のみならず、あらゆる宗教を信じる親のもとには二世たちがいます。そしてそこには、二世であるが故の苦悩と同時に、二世であるが故の気概や誇り ...

2023/2/9

統一教会と二世の苦悩 ~宗教二世には信教の自由がない?【後編】

宗教二世問題とは ― 二世に信教の自由を!? 宗教二世が抱える諸問題 ―何が根本問題だったのか? ※上記は前編の小題目。下記がその続きになります。 宗教二世問題の本質 ― 私には自分の人生がなかった!? 一世と二世の根本的な違いは、一世が自ら欲して信仰の道に来たのに対し、二世は自らの意思とは関係なく、生まれてみたら(或いは、親の決定によって、気付いてみたら)信仰共同体の中にいた、という点にあります。 相談を受ける中で、多くの二世からこんな言葉を聞きました。「私には、自分の人生がなかったんです…」。その言葉 ...

2023/2/9

統一教会と二世の苦悩 ~宗教二世には信教の自由がない?【前編】

※仕事と家庭の事情でブログが止まってしまっていました(汗)。改めて「宗教二世」を次のテーマとしてブログを再開したいと思います。 宗教二世問題とは ―二世に信教の自由を!? 昨年、安倍首相銃撃という悲劇を引き起こした山上容疑者の犯行動機が「旧統一教会への恨み」であったと知られたことから、それまで水面下でくすぶり続けていた「宗教二世問題」がにわかに世間の耳目を集め、社会的イシューとして取り上げられるようになりました。 9月には、統一教会二世の高橋みゆきさん(仮名)が宗教二世の救済に向けた支援と法整備を求める署 ...

2022/12/27

統一教会と政治とのつながり ~教団と関係を断つことは宗教弾圧か?

※ 献金問題に続き、「宗教二世」をテーマに書いていくつもりでしたが、バタバタしているうちに年末になってしまいました…(涙)。今回は取り急ぎ、旧・統一教会の問題報道の発端となった「教団と政治のつながり」について、改めて取り上げてみたいと思います。 統一教会バッシングは「魔女狩り」か? 旧・統一教会(以下、教団)関連の取材を受けた際、「献金問題」と共に、決まって質問された内容が「教団と政治とのつながり」について、でした。(ちなみに3点目は「宗教二世」の問題です) 7月の事件以降、教団と自民党議員との“蜜月関係 ...

2022/12/10

旧統一教会・被害者救済法案が可決 ~努力の結実と残された課題

※数日間、高熱で倒れ、その直後、溜まってしまった業務に追われ、久方ぶりの更新となりました…(汗)。昨日、救済法案が衆院で可決されたとのニュースを拝見し、感じたままを記します。 救済法案の制定 ― 被害者の声と努力の結実 一昨日8日、旧・統一教会の被害者救済に向けた新法案が、衆議院本会議で可決されました。当初の政府案に、立憲民主党をはじめとする野党側の意見を反映させ、与野党で合意に至ったとのこと。 具体的な内容としては、借金や住居販売等による献金、威迫・困惑を伴う方法での献金等の禁止といった元の案に加え、( ...

2022/11/24

2009年以降の統一教会と献金(10年代)~信徒の犠牲は何のため?

ご利益か?自己犠牲か? 「これで本当に救済されると思いますか?」 先日、記者の方から、旧・統一教会の「被害者救済法案」について尋ねられました。 恐らく、示された範囲では、実際に“救済されない”方々もおられるでしょうし、「抜け道」も多々あるに違いありません。が、「借り入れによる献金」が規制されるだけでも、今いる信徒やその家族を守ることにはつながるのではないか、と思いました。(献金に変わり得る)土地や資産は全ての人が持っている訳ではありませんが、「借り入れ」は誰にでもできてしまうからです。 本来、信徒が借金し ...

2022/11/18

統一教会における養子縁組 ~美しい伝統か?人権侵害か?

養子縁組は人権侵害なのか? 暫くの間、時代の変遷に伴う教会の献金問題について述べてきました。今日はその続きを書くつもりでしたが、改めて、昨今の教会関連の記事に目を通しながら、特に「統一教会の養子縁組」ということが、多くのメディアで取り上げられているのを見ながら、危惧するところがあり、一言、このことに触れたいと思いました。 それが本来、「届け出と許可が必要」と定められていることであって、実際の取り組みが法に触れることであったなら、(当時の私自身も含め)無知だったことを反省すべきだと思います。 ただ、それが「 ...